隔絶

夜霧
先が見えない山道を進む

ナビもなく
地図もなく
目的地の標識を頼りに

曲がりくねった道はいつまでも上り坂のよう

降り出した雪は世界を閉ざすよう

走り抜けられるのか
前のめりでライトの向こうを見つめる

「土砂崩れ注意」

戻るべきか、行くべきか
今更なのか、今ならなのか
悩んだところで
わかるのは結果がでてから

マニュアルはない
30分のとてつもない孤独

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あれから約15年

Srayevo

おびただしい弾痕が残された壁の中で人は暮らし

Srayevo3

石を積み直し

Srayevo2

暮らしの色をあふれさせながら

Srayevo1_2

傷を見つめ生きていく

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よくないよ

すっぽりと
時の流れにぬけおちて
そばだてる身体闇がいくまえに(音呼)

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境界線の藍

その色が見れるのは1日に2回。

朝が来る手前の東の空と
夜が来る手前の西の空。

時間にしたらそう長くはない。
深くて,でも重くはない藍色。

昼と夜の境目

東の山ぎわからじんわりと
色の世界が生まれ出るとき
じんわり,じんわりと
薄墨の雲の合間を藍色が埋めていく。

西の山ぎわにじんわりと
色の世界が追いやられるとき
じんわり,じんわりと
薄墨の雲が藍色を塗りつぶしていく。

色のない世界とある世界の入れ替わり
その刹那の藍色は
じんわりとやさしい。

色が生まれ出る頃に眠りにつき
色が消え去ろうとする頃動き出す。
そんな私の目を,慰めてくれる。

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帰り道

窓明かり

ぽっかり夜空に浮かんでる

僕の月は

通える場所にある

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傷口

「人を殺したいと思ったこと、ないの?」

彼は、「ディズニーランドにいったことないの?」とか、そんな程度にありふれて意外なことを聞くように、私に尋ねた。

そう
彼から見たら、私は幸せな人間だったのかもしれない。

どこか頼りなげで、ほっておけないような男(ひと)だった。
暴力とは対局にある人。
何を言っても怒らないような、とらえどころなく、漂っているような人だった。

人を殺したいなんて、思うことがあるとさえ思っていなかった。
私からみても弱々しい彼が、それをさも意外そうに言うことが、どうにも受けとめられなかった。

だけど
彼は確かに
足を引きずらなくては歩けなくって
それはどうにもできない病気のせいで

いつもひょうひょうと笑っているとらえどころのない彼とは別に、そういうものを抱え込んだ彼がいて当然だったのかもしれない。
ただ、
彼のひょうひょうとした感じが「普通」すぎて、私はそれ以上考えることしなかったんだ。

私は自分を不幸だと思ったことはない。
だけど
不幸だと言われそうな歴史を重ねているとは思ってきた。
それが「不幸」だと烙印をおされたくなくて、言わなかったにすぎない。
認めたくなかったのだ。
言えなかったのだ。

そういう自分の「意固地さ」は、自分を追いつめるよりも、支えてきたのだと、今は思う。
それがかなり痛々しい、後ろ向きなものだとしても、前に進ませてくれたものには違いない。
そして、自分を殺そうと思ったことがあったとしても、人を殺したいと思い詰めることなく生きてこられたことは、きっと、間違いなく、感謝すべきことなんだ。

その日は、仕事帰り、彼の車で1時間ちょっとのドライブだった。

「危ないって思うことないの?」

と尋ねる彼に、

「ぜんぜん」

って応えてた。

だって、襲われても彼には腕力でも勝てそうだったし、そんなことをしそうな人だと思ったこともなかったから。

「くやしいな」

と言った彼のことをだけど、
彼の深い暗闇を、
その、まだ湿り気のある傷口を感じで以来、
なんだか気になって仕方がなくなったことは、
私しか知らないことだ。

私もいつか、傷口を見せられる誰かに出会えたら、語ることがあるのかもしれない。
わかってくれそうな闇を持つ誰かに惹きつけられて、涙を流すのかもしれない。

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開放

違うものを同じにはできない

壁をすり抜けられる人間はいない

ふれられないものの手触りをしることはできない

聞こえないなら叫ぶだけ無駄

受けとめられない想いに突き刺され

血を流すのは私

一人相撲であざをつくることはないって

今度こそ

今度こそ

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モノクローム

深夜零時
左手に黒く、流れているだろう犀川
降り止んだ粉雪
たちこめる夜

まだ柔らかな雪の膜を踏みしめて
タイヤは進む
暗闇に白く張られた一本のテープの上を
しずかに、確かめるように

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月のドレス

moon

せっかくきれいな月なのに、

雲が出てきたなんて怒らないで。


月に照らされている間だけ、

雲は銀色に輝くことができるの。


だからもう少し

雲に楽しませてあげようよ。


夜はまだ長いんだから、ね。

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立ちのぼる煙の向こうにうかぶ顔
ふり仰ぐそら染み込めあお(音呼)

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記憶の中から響く音

 「ペキッ」

右足の下で、聞き慣れない音が響いた。
小さな
でも硬質に空気をふるわせるような音が。

 ◇◇◇

飛行機が降り立ったのは、予定時刻を30分もすぎた頃だった。
今日は荷物も受けとらなきゃいけないし、急ぐことはない。
人の列が流れ出すまで、座ったまま小説を読み続けた。

列に入ってからも読むのはやめなかった。
ゲートに降り立ってからも。
一方向に進む人々の流れに乗って、
ページに目を落としながらゆるゆると歩みを進める。
こんなことは久しぶり。

 「そういえば、子どもの頃もこうして
  本を読みながら歩いていたっけ」

小学校の帰り道、よくそうしていたことを思い出した。
そしてあのことも、思い出してしまった。

 ◇◇◇

両脇に田圃や畑が広がる、のんびりした通学路。
一人で帰るときはよくそうしていたように、
その日も、友達から借りた漫画を読みながら歩いていた。

 「ペキッ」

その音が聞こえたのは、家まであともう少しという所だった。

 「きっと小枝でもふんだんだろう」

そのまま歩き続けた私の足を、何かが止めた。

 「本当は、何をふんだんだろう」

その音は、今まで聞いたどの音とも違うような気がした。
小枝にしては硬質すぎる、そう思った。

 「確かめに戻ろうか」

少し怖い気もした。
でも、どうしても気になった。

そしてそれは、
命のはじける音だったのだ。

 ◇◇◇

雨の日はいつも、さけて歩くのが大変なくらい、
雨蛙が車にひかれていた。
そんなところだった。

でも、私が起こしてしまったその音は、
ぞくっとするような感触とともに
胸の奥の方に突き刺さった。

 「ペキッ」

そう、何年たっても思い出せるくらいに。
蛙のいないコンクリートの空港で、ずいぶんと久しぶりに
あの音が響いた。

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傷口

ほら、まだ血が流れてる
ねえわたし、こんないにかわいそう
もっともっと同情してよ
同情で傷をふさぐから

ほら、またやってきた
そんなの大した傷じゃないよって?
みんなで自慢しあおうよ
悦びで痛みを散らすから

ほら、その困った顔
こんなにわたしを傷つけたんだよ
あなたはもっと傷ついてよ
仕返しで心を満たすから

ばかみたい

同情なんてやめてよ
自分は幸せって思ってるんでしょ

ばかみたい

不幸比べはやめてよ
小さくたって私には痛いんだよ

ばかみたい

そんな顔しないでよ
思い出までからっぽになりそうだよ

ばかみたい
ばかみたい
ばかみたい

ほら、まだ血が流れてる
ねえわたし、いつまでかわいそうかな

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うず

手を離れてしまったことを思い出す

何度も何度も 繰り返し

あの時ああしていれば こう言っていたら
あの時のことば ほんとはこう言いたかったのかも

答えのない問を繰り返す

何度も何度も ぐるぐると


「結局そういう運命だったんだよ」

そんな風に割り切れたら

あの時感じたことが間違いで
今思い直してることが本当なんて たぶん嘘


手を離れてしまったことを思い出す

何度も何度も 繰り返し

変えられたかもしれない運命なら
これからでも違う今をたぐり寄せられるかも

欲しい答えが出ずに繰り返す

何度も何度も ぐるぐると


「結局そういう運命だったんだよ」

まだ準備はできていない

とても大切なものだったような
そんな気がしてくるのは錯覚? それとも深層?


ぐるぐる ぐるぐる
ぐるぐる ぐるぐる

答えのない問は繰り返される

ぐるぐる ぐるぐる
ぐるぐる ぐるぐる

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失われた言葉

昨日の夢で会ったあなたは
いつかのように
何処かむず痒そうな顔してた

大切なことほど言葉にしない
きらいじやなかったけど
夢の中くらい話してくれたらいいのに

あの時あなたがのみこんだのは
どんな言葉だったのでしょうか

あの時私が尋ねていたら
何か変わっていたのでしょうか

それはどうせ
今更聞いても仕方のないこと

それはどうせ
今更わかっても仕方のないこと

こんな想いはきっと雨の月曜日のせい
ただそれだけのこと

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どうせならふかくまで

丸い星の上に暮らしてると

潜って 潜って 潜り続けると

いずれ反対側に突き抜けるって知ってた?

kuma沈んでいってるつもりでも

どこからか

その動きは浮上って呼ばれるんだよ

それが地球の原理なら ね

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部屋の中の月

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「いつも心に太陽を」
持てない時は月を浮かべましょう。
月もない夜は
お気に入りのランプを燈しましょう。
もしもランプが切れたなら
それはおやすみの合図です。
探し物はやめ
目覚めるまで眠りましょう。

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ある夜のことば

寒い夜

軋む空気

光の輪郭

ぬくもりの記憶


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ナイロン100℃「消失」に寄せて

とても大切な誰かが
何の前ぶれもなく
この世から消えてしまったら

その消失を受け入れるには
どれだけの時間が必要なんだろう

消失をなかったことにするには
どれだけの犠牲が許されるんだろう

「いっそ自分が消えてしまえばよかった」
そんな思いは
どうしたら癒せるんだろう

どうせ誰だっていなくなるにしても
君がいない世界は僕の世界じゃない

実体と 認識の 不一致

そうさ
認めなくたって痛いよ

でも
認めてしまったら
僕の世界は終わるんだ

だから
ほかの何を犠牲にしても

ホントウじゃなくても

僕の世界の君は
 絶 対 に
誰にも消させないよ


(公演は12/26まで紀伊国屋ホールにて)
ナイロン100℃公式サイト

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音の消えた夜に

凍てつく夜

空気のきしむ音だけが
うち寄せる夜

すべてのものがとまった世界で
ただひとつ
動きをとめない光のつぶてにうちとらわれ

放り出されたように 独りになり
つつまれるように 全体となった

満天の星空って言葉が
すとんと落ちてきた夜

すなおにいとおしいと
そう思えた夜

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冬月夜

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ゆうべの月はまんまる

きれいなものは ときどき冷たい
ときどき怖い

冷たすぎても火傷するんだって

知ってからもっと
きれいにおもえた

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線路は続かない

ある時 人間がこの地にやってきて
草原を切り裂き 大地に鉄をうがち 音を響かせた

かつて 人々の暮らしと思いをのせ 列車が走ったその道

ある時 人間はこの地をさって
鉄の道だけが残された

赤茶けた身を草花に埋もれさせ 静かに眠る暮らしの痕跡

かつて 道を遥かからふるわせた滑車の音は
もう聞こえない

滑車のきしみに混じって聞こえた笑い声も
今は遠い昔のこと


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空があおくあるように
木々があおくあるように
私は私であるのだろ

空が時には曇るよに
冬には木の葉が落ちるよに
私が見えない時もあるのだろ

それでも空はまた晴れて
木々に若芽がいぶくよに
私は私を歩きだす

また私を好きになろう

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ゆく川の流れはとどまることを知らず
時は休もうともしない

水はその先に
何が待っているか知っているわけではないし

人の時の先に
何が待っているかを知っている者などいはしないけれど

私が行こうとしている先に
目指す場所はあるのだろうか

あると思って
ないとしたって

それでも進む
先へ先へと

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月 (3 peaces)

いくら手をのばしても
月には届かないと知ったときよりも
それよりも悲しいのは
あなたの心にふれられない夜

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満月の光が私に射しこんで
銀の糸がつなぐ夜
ふれられるのに遠い君と
つなぐ糸を見せてほしいのに

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ぽっかりと 闇夜にうかぶ月のよに
あなたにさしこむ光になりたい

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降るあお

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そらははてしなくひろくって
だれにもほほえんでいるようにみえたって
わたしのものってわけじゃない

だからきれいなんだなんて言ったって
いまほしいのは
わたしだけにふりそそぐあお

(00/02/03)

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かわいたそらをみあげたら

なんにもなかったようなきがした

めをうまくあけられないのは

たいようとかぜのせい

だよね?

(00/02/02)

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さがしもの

振り向けば
蒼く 細く のびる影
影にしか見い出せない 自分のかたち

見えない未来は
かたちがないから怖いのか
ないからこそ自由なのか

答えがどちらもイエスなら
影と 恐れを道標にしよう

自分がそこにあることだけは疑わないで
私はいつも
そこにいるから

(99/09/09)

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消えない影

ただぼんやりと
人の海のなかをただよっている
こんな日は行き着く先なんて
忘れてしまいたくなる

ただわけもなく
人の海のなかで立ちすくむ
こんなとき
本当はどこに行きたかったのか
もう思い出せないよ

ただ突然に
涙がほおをつたってくる
いつだって
わたしを抱きとめてくれるあなたを求めてる
こんなわたしはやっぱりわがままなのかな

(98/11/17)

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こんなさむい夜は
ベランダで夜の冷たい空気を吸いこみたくなる

この街の夜空には
いろんな色があるね

星の光のかわりに
たくさんの人の夢が空をてらしている

あなたの夢と
わたしの夢
この空が結びつけてくれますように・・・

(98/11/11)

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過去のしるし  

ときどき開けてみる
空っぽの箱
そこにはもう何もないって
確認しないと進めない
そんな記憶が
閉じ込められている箱

(98/11/24)

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