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Dulcinea Langfelder in "Victoria"

9月26日(金),金沢21世紀美術館のシアター21にてVictoriaを鑑賞。
本作の日本での上演は3回目,3年ぶりとのこと。

デュルシネア・ラングフェルダーは,2007年エジンバラ演劇祭のダンスフィジカルシアター部門ベストパフォーマー賞を,Victoriaで受賞している。21世紀美術館スタッフがエジンバラでその舞台を見たことが,今回の公演につながった。

登場人物は,終末期の養護施設で暮らすビクトリアおばあさんと,その世話をするいかにも無骨そうな男性看護師の二人。
舞台上もシンプルで,カーテンの移動による場面構成と,そこに投影されるシルエットが,ファンタジックな世界の広がりを創り出す。(その演出はいくつかの野田作品も思い起こさせ,非常に私好み!)

デュルシネア演じるビクトリアおばあさんは,無邪気な笑顔,ハイトーンな声と話しぶり,車いすからのばされた白いソックスのとことこした足の動き,もう,とびっきりかわいい。

しかし,彼女が生きる世界は,今・ここではない。
いつとも誰ともしれない,現実とは異なる時と友人の間を行ったり来たりして過ごしている。

その笑顔も,幾度も寄せては返すような言動も,数年前に亡くなった祖母を彷彿とさせた。
そしてそれは,無数のおばあさん達の姿でもあり,誰にとっても,私にとっても,他人事ではない生の現実だ。

お気に入りのレコードの針がとぶようになり,リピートを繰り返すばかりになっても,それでも好きな音楽のなかで事切れるまで踊る。そんな終末期を,ヴィクトリアと看護師,そして観客とのユーモアあふれるやりとりと,生身とシルエットを効果的に組み合わせたダンスで,やさしく,せつなく,美しく描く。

デュルシネアは,そのキャリアからいってそう若くはないと思うのだが,病院服を着た体の質感や動きがどきっとするくらい生々しい老齢のヴィクトリアと,空想の世界では羽ばたくようにしなやかに踊る若々しいヴィクトリアの,双方をすばらしい完成度で見せてくれた。

金沢の前に行われたスパイラル・ホールでの公演では,新作「デュルシネアの嘆き」がかけられたとのこと。
「今度はその新作を是非金沢へ!」と21世紀美術館の方は言っていたが,それが現実になることを期待したい。

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