エミリー・ウングワレー展
彼女の作品に向かいあっていると、無数の生命の卵がプクプクと呼吸している神聖な世界をのぞきこんでいるような気分になる。
深呼吸すると、その卵が発する新生な気体のなかに、土の、草の、またある絵からは雨の匂いさえ感じられる。
張り巡らされた線は、関係性の束としてのアイデンティティ、自分のなかにある自分以外のものの存在を思い起こさせる。
アイデンティティや個性という言葉が、普及すればするほど、日本では逆に忘れられがちなその意味。
私は私であって、私だけではない。人は人であって、私でもある。
そんなコミュニティは、そこにいる時にはうっとうしくもあり、私も故郷を離れてくらす一人だが、それは間違いなく、私という人間の核にある物語、アイデンティティのヨリシロでありつづけている。
癒される、というのは、きっとそのことばではない。
そこにある強さ、生命力、それを踏みにじろうとする力への高らかな宣言。まさに大地のような大きさだ。
常に顔をあげているパワー、信じるエネルギーをもらう。
メルボルンで見覚えのある作品も。入口すぐ、2点目の作品もそう。NGAと違い作品解説がいろいろつけられているので、また違った感じでも見れる。
理解や解釈ではなく受け取ること。
彼女のなかにわきあがった物語に、自分の内側がどう反応するか、ゆっくり旅をするように見たい展覧会。
国立新美術館にて7月28日まで。
Comments
necoさん おひさしぶりです!
私も来週行く予定です。
東京にいらしてたのね、、。
Posted by: AYA | Jun 22, 2008 at 11:22 AM
AYAさん
そうなんです~
まあ,いつものように仕事でですが,今回は日帰りじゃなかったので,翌日はゆーっくりブランチしてから美術館に♪
でも,東京はめっちゃ蒸し暑かったです(*_*)
美術展楽しんで来て下さいね~
Posted by: neco | Jun 22, 2008 at 10:37 PM