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パチンコ屋さんの思い出

「大人になったら何がしてみたい?」と聞かれると、いつも、「パチンコ屋さんに行きたい!」と答えていた。
なぜパチンコ屋?
よく行くような知り合いもいなかったし、誰かが勝って羨ましいと思うような経験もなかったのに。

パチンコ屋さんには18歳から入れるけれど、周りにそういう友だちもいなかったため、ようやく希望を果たしたのは何年もたってから。当時付き合っていた男の子に頼んで、一緒に近所のお店に行ってもらった。彼もそういうのに興味がなかったから、「なんでパチンコなんかしたいの?」と、ちょっと呆れられながらのことだった。

「ちょっとやってみたいだけ」と言って、500円分だけ、その子が隣で見ている中打ってみた。
ほんとあっという間。何事も起こることなく持ち玉は終わり、そのまま不機嫌そうな彼に引っ張られるように店を出た。

私はこんなことがしたかったのかな?
なぜ行きたかったんだろ?

実際のパチンコ屋さんは、ずっと行きたかったパチンコ屋さんとはまったく別物みたいにどうでもいいものだった。
その後再び行きたいと言い出すこともなく、ただなんだかすっきりしない気持ちだけがかすかに残った。

こんな記憶の片隅にあった出来事を思い出したのは、まだセンチメンタルモードが抜けきれない昨日のこと。
その時、突然暗号が解けるみたいに、私のパチンコ屋さんへの淡いあこがれのような気持ちがなんだったのか、ストンと腑に落ちた気がした。

◇◇◇

祖母の葬儀にあたっては、私の子ども時代しかしらないような親戚やご近所の人含め、久しぶりにいろんな人と挨拶したり、話をしたりした。
私が父を早くに亡くしたことは以前にも書いたけど、その父のことがしばしば話題にのぼった。

「何か覚えてる?」
4歳までの、ほとんどないと言ってもいいくらいの父との記憶だけど、うっすらと、一緒にパチンコ屋さんに行った時のことは覚えている。
「多分いつもと違う場所にいって、印象的だったから覚えてるんじゃないですかね」
なんて言いながら、誰かよくわからない親戚に答えていた。

私は何歳だったのか、その時の父の顔も思い出せない。
けれど、うっすらとした記憶では、なんだか出たみたいで、帰る頃父は景品を入れた紙袋を抱えていた。
その中から父は、私に大きな板チョコをくれた。
父も私もご機嫌だった。
帰ったら母は怒っていた気がするけど、それでも私はチョコを手にご機嫌だった。
あたたかな、夕焼け色で刻まれたワンシーン。

◇◇◇

理由はわからないけれど、パチンコ屋さんに行くと何か楽しいことがあるような気がしていた。
父との数少ない思い出をしまい込んでいくうちに、父親がいなくたって関係ないってふうにしているうちに、理由はすっかり奥底にしまい忘れてしまって、「パチンコ屋さん=楽しい」という公式だけが残ったのかもしれない。

やっとわかったよ。
私がずっと行きたかった場所は、パチンコ屋さんそのものじゃなかったんだね。
これも、弱さを受け入れられるくらいの余裕が出てきたってことなのかな。
って、ずいぶん時間かかっちゃってるよね。

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Comments

週末、ずっと観たかった映画を観てきました。宮沢りえの『父と暮らせば』。自分は恋をしてはいけない、しあわせになってはいけない、と、強くこころに決めてしまった、やせた美しい女の、亡くなったはずの父親との4日間の出来事です。お父さんはきっと、いちばんの応援団なんじゃないかな。あなたにとっても。わたしにとっても。

Posted by: なぐものも | Aug 31, 2005 at 12:13 AM

ヤッホー!
「父と暮らせば」ですか。見てないな~。りえちゃんは好きだから覚えときます!

そうね。
ほとんど覚えてないんだけど、素敵な人だったって思えるだけでも、幸せなことだと思ったりする。

Posted by: neco | Aug 31, 2005 at 08:09 PM

いい女の人になってるよね、ますます。途中、りえちゃん扮する主人公に、「お前は、ひとさまが振り向くような美人でもないし、はっとするような色気もないが・・・」って父が言うセリフがあるんだけど、それはちょっとムリがあった・・・。

Posted by: なぐものも | Aug 31, 2005 at 11:46 PM

グエ!
そんなこと言われたら見てる方はどうなるの~

でもね、まえここで書いた「トニー滝谷」の若い女役も、とりたてて何も印象に残るものがない平凡な女っていう役なの。
メイクとか衣装で多少野暮ったくしてたけど、それでも確実に目を惹くわよ!!!って思った。
ハリウッド女優みたいに、役にあわせてデブになったり不細工になったり・・・は、りえちゃんにして欲しいとは思わないけども。

Posted by: neco | Sep 02, 2005 at 09:19 PM

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