映画/拘束のドローイング9
先日急ぎ足で展示を見て回ったマシュー・バーニー展ですが、映画の方をようやく見てきました。
映画をみてから展示をみる方が良いかもしれない。
「あ、これは例のアレですね」
「あ、これはあのシーンですね」
と映画を思い出しながら、脈絡含めもっと近しく見ていくことができるから。
南氷洋調査捕鯨船とその母船日新丸
日本人乗組員達
西洋(オクシデンタル)客人マシューとビョーク
捕鯨を軸に、紙や水引の細工、踊り、着物、屏風、茶道といった日本の文化風俗が織り込まれる。
北野たけし監督の座頭市と同じ手法で、人の所作や息づかい、作業から出る音がリズムをかなでていく。
日本で生まれ育った私には見慣れた光景も、組み合わせと切り取り方でこんなにもってくらいエキゾチック・ジャパンな映像世界。
いくつか笑えるというか、それは無理が・・・ってのもあるけど、そう見えるのか、見たいのか、という感じ。
スタートはマッカーサー元帥宛に書かれた手紙の文面を歌詞にした英語の歌から。
曲はまさにビョーク。
字幕はなし。
挨拶や乗り組み員同士の会話くらいしかことばはない。
日新丸や日本文化に関して説明する、ほぼ唯一の台詞らしい台詞を話すのは、金沢で活躍する裏千家教授の大島宗翠さん。
あのぶっとび~な道具で茶をたてた(まぜた?)気分はどうだったのだろうか。
なるほどR15
終盤下手なホラー映画よりエグエグなシーンが展開
ただ血を出せばいいってもんじゃない、イヤな感じの与え方をよくわかってるんだなバーニーさんは。
その手の方にはたまらないゾクゾク感があるかも。
描かれた不思議の国ニッポンは、いかにもオクシデンタルな境地からのオリエンタリズムチックでありつつ、オクシデンタル客人をニヤっと見返す野太さもそこにはあって、
拘束のないものなどないのだと、
その拘束を開き直ったところから見える世界を、
ことばすくなにイメージ化しようとしてるのかな
例えば、
何が文明的で、何が野蛮なのか
何が人と獣を分けるのか
オクシデンタルな世界での反応がどうなるのか興味あり。
見たからってやっぱりわからないところはわからないし、趣味的で特に知ろうとする必要もないと感じる所も多々。
楽しめるところを楽しめばよろしいのでは、というくらいで。
STUDIO VOICE 8月号は拘束のドローイング特集。映画のメイキングや大島さん含む出演者の談話も載ってます。
The comments to this entry are closed.
Comments
金沢情報いろいろとありがとうございました!
『拘束のドローイング』展見てまいりました。
感想書いたのでよろしければ覗いて見て下さい。
http://akirart.blog.bai.ne.jp/?eid=13147
野村早紀子さんの写真展は時間がなくて行けませんでした・・・。21世紀美術館のグッズ売り場にも野村早紀子さんの写真集置いてましたね。行けなくて残念です。またおもしろそうな展覧会があればぜひ教えて下さい!では!
Posted by: A | Aug 08, 2005 06:26 PM
Aさんどうも。
さっそく読んできましたよ。
私はほんと急ぎ足でしか展示見てないし、アーティスト・トークの録画もみてないので、またいってみようかなという気にさせられました。
こちらこそよろしくお願いしますね!
Posted by: neco | Aug 08, 2005 07:59 PM