« 時と私のスピード | Main | ごきげん »

映画/海を飛ぶ夢

私がずっと生きていて欲しいと願うその人にとって
生きることが苦痛でしかないとしたら
彼に自由の翼を与えるものが死でしかないとしたら

私のために生きていてと願うことは
我が儘でしかないのだろうか

なぜ私の存在を生きるよろこびにしてくれないのかと
そう叫ぶことは傲慢なのだろうか


「私を愛している人は私を死なせてくれる人」


私の幸せは彼の苦痛で成り立ち
彼の幸せは私の苦痛で成り立つ
二人の幸せが一致する地点はこの世にはないのか


「私を愛している人は私を死なせてくれる人」


相手のために自分の苦痛を顧みないことが本当の愛
そのことばは、私を愛していないのだと突き付ける
そう、彼の愛はこの世のどこにもない

私の苦痛など比べ物にならないくらいの苦痛をおいて
彼は自由になりたがっている
海へ帰りたがっている
まだ世界が輝いていたあの日へ

--------------------------
umi「海を飛ぶ夢」(原題 The Sea Inside)
2004年 スペイン
監督:アレハンドロ・アメナーバル
原作:ラモン・サンペドロ
アカデミー賞外国語映画賞受賞
ゴールデングローブ賞最優秀外国語映画賞受賞

1998年に尊厳死を選んだラモン・サンペドロの手記をもとにした映画。
アカデミー賞外国語映画賞は尊厳死を扱った作品が続いてる。

映画を見ながら、2度泣いて、何度も笑って、思いがとても切々と心に伝わるのに、どうしてもその思いをよしともできない。共感しながらでも割り切れない。
ほんとうにつらくて、悲しくて、いとおしくて、美しくて・・・

「人生は生きる価値がある」
「人生はもっと豊かなものだ」
そんな「正論」も、彼には届かない。

割り切れないことの存在を、そういう存在としての人間を、真っ正面から見つめさせてくれる作品。
法律の文言や、宗教の教義や、そんなもので語れない。
正しいとか、正しくないとか、そんな風に割り切れない。
人間って、そういうものだよね。

|

« 時と私のスピード | Main | ごきげん »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55003/4568511

Listed below are links to weblogs that reference 映画/海を飛ぶ夢:

» 生と死について考えるための映画◆『海を飛ぶ夢』 [桂木ユミの「日々の記録とコラムみたいなもの」]
4月21日(木)TOHOシネマズ木曽川にて 今年度アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『海を飛ぶ夢』を観に来た。 アカデミー賞では、主役のラモン・サンペドロを演じた30代前半のハビエル・バルデムを 50代に変身させた特殊メイクも評価されたが、 25歳のラモンを演じるハ... [Read More]

Tracked on Jun 27, 2005 at 03:32 AM

» 海を飛ぶ夢 [酒池肉林・映画歓楽街]
2004 スペイン/フランス 125分 【監督】アレハンドロ・アメナーバル 【脚本】アレハンドロ・アメナーバル 、マテオ・ヒル 【出演】ハビエル・バルデム、ベレン・ルエダ、ロラ・ドゥエニャス、クララ・セグラ、マベル・リベラ 他 【製作総指揮】アレハンドロ・アメナーバル、..... [Read More]

Tracked on Feb 17, 2006 at 03:58 PM

« 時と私のスピード | Main | ごきげん »