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映画/阿修羅城の瞳

ashuraこの作品、新橋演舞場での初演(2000)、再演(2003)どちらも見てて、DVDも持っていたりするくらい、劇団☆新感線作品の中でもかなり好き。
だから、あまり映画として独立しては見ることができないのだ。で、私はやっぱり舞台の方が断然好き!

まず、オープニング。新感線のオープニングはかなりかっこいいのだが、なんというか、あの題字&その見せ方はないんじゃないか。

メイン以外のストーリーや登場人物も大分変わってる。
映画はつばき(宮沢りえ)と出門(市川染五郎)のラブストーリーに絞ってるんで、新感線につきものの「仲間達」キャラは一切なし。新感線に欠かせないお楽しみである主旋律以外のお遊びや、複線的にからむ感動ストーリーがないのは、視野が狭く、時間的にもより制限のある映画ではまあ仕方ないとしても、メインキャラについても、「なぜそうなの?」という部分で描かれてないことも多く、キャラが浅くなってしまってるようにも感じた。

サブの美味しいキャラ好きにとっては、芝居小屋の座員役で登場の、ナイロンの大倉孝二さんと大人計画の皆川猿時さんがいい感じ。

絵的には、端々まで物を見せすぎというか、細部までリアルにつくりこみすぎて、逆に幻想的な空気をそいでしまっていたことが残念。舞台に満載のB級感醸し出すお遊びは一切カットなのにさ。CGや特殊メイクがイマイチ安っぽいというのが大きい。今はなんでもCGだけど、日本古来的な、逆にそういう具体的に見せない描き方もあったんじゃないのだろうか。

鬼の血もあんなスライムみたいにしなけりゃ良いのに~!
ちなみに舞台では、5年前の鬼の巣窟への打ち込みシーンは障子越しのシルエットで描かれた。障子を真っ赤にそめるライトのなか、スローモーションで動く黒い影の殺し合い。そちらの方がずっと凄惨で、見えないからこそ感じる怖さがあったように思う。
日本のホラーがハリウッド版になって怖くなくなっちゃったみたいな感じ。

舞台ではかなりぐっときたきめ台詞が、映画ではちょっとやりすぎのように感じたことも一つとても残念だったこと。舞台空間ではこの上なく粋で艶っぽく響いたことばが、映画の中ではいかにも芝居がかった台詞に聞こえてしまった。映画だけを見た人なら、こんな先入観を持たなければ、あの台詞を粋だと感じただろうか。

良かったのは、りえちゃん。
りえちゃん、さすがに年をとって、大画面のアップでみるとあー皺が・・・とか見ちゃってましたが、阿修羅という役を演じられる女だということは確か。
三蔵法師を演じたのだって、夏目雅子とりえちゃんだ。
表情がくっきり見えてしまう映像作品で、喜怒哀楽どの表情ともつかぬ、怖さと優しさを共存させ、男も女も超えるような、仏の顔を見せられる女優がこの二人の他にいるかと考えると、・・・浮かばない。

他に舞台版より魅力的に見えたキャラは小日向文世さん演じる四世鶴屋南北。目の表情に、物書きの業を感じた。これはもう、映画だから見せられる絵だからね。

松竹と組んだ染五郎主演の新感線の各作品は、舞台録画を上映もしてるので気になった人はそっちも見てみるといいかも。まあ、生が一番だけど。

映画の公式サイトはこちら
ストーリーその他はこちらでも

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