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金沢21世紀美術館 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa

21logo.jpg

ようやく行って来ました、金沢21世紀美術館(ちなみに、開館前ウェブがどうもと書いてましたが、開館後はほんとにリニューアルしてました。もちろん関係ないけどね。でも、まだまだコンテンツ不足な感あり。)

開館後1月半くらい経過し、人出はそこそこ。見たいものを見たいように見るにはほどよいくらい。観客の存在をその一要素とするような作品も多いため、誰もいなくてもだめだしね。

開館記念展「21世紀の出会い 共鳴、ここから」(途中一部展示を入れ替えて3/21まで)と、所蔵品を中心に、近現代の世界的、そして金沢という地域につながるアーティストの作品を展示した「モダン・マスターズ&コレクション」(12/23まで)、さらに、館内外に転々と配置された諸作品を見て回る。

ちょっとはしょりながら見たのにもかかわらず、さらに、乗車・体験型作品はすべて今回はパスだったのにもかかわらず、だいたい見たかな、というときにはもう3時間くらい経過していた。
いくつか印象的だった作品についてコメント。

まず開館記念展が行われている美術館ゾーン。
入ってまず出会うのが、開館前から注目されていたレアンドルの「スイミング・プール」。館内に4カ所ある中庭の1つに廃されており、日が射し込む小さなプールの水面をのぞき込むと、水底にこちらを見上げる人の姿。水底の部屋はずっとみてまわった最後あたりに位置していて、館のシンボル的作品の一つとして、この展示ゾーンの最初と最後を飾っている。私が好きだったのは、以外にものぞき込む方の景色。池の魚をのぞき込むように人影を見るという経験はけっこう面白かった。かなりクッキリ見えるんだこれが。

ジュン・グエン=ハツシバによる映像作品「ハッピー・ニュー・イヤー:メモリアル・プロジェクト・ヴェトナムⅡ」は中国の新年と言えば!の龍舞を海中でやっちゃってるもの。かなり面白い絵になっている。おすすめは、ちょっと目の焦点をずらして見てみること。立ち上る水泡のなかをすり抜けるカラーボール、波打つ龍の鱗などがより幻想的に見えて、ちょっとしたトリップ感を味わえる(注:誰でもってわけではないでしょう)。

R&Sie・・・建築事務所による「聞いた話:ノード」。珊瑚のような形をした自己増殖型住居を模型と映像で展示。でも私が見入ったのはその設計コンセプトが流れる文字スクリーン。完全に哲学入ってます。生態系、生命体のシステム、うつろいを建築に写し取るようなそれは、私にはとても面白くて刺激的だった。全文読み終わるには数分かな?

カールステン・ヘラーの「金沢の自動ドア」。日本の城にあるような、幾重にも重なって空間を区切る襖のように、幾重にも重なって、時には街の景色のなかに立つ自分を映し、ある時はそこから突然向こうからやってきた人が立ち現れる鏡の自動ドアであるそれは、実際に平行して走る二本の通路に交差した通路となっている。しかし、その入り口があまりに平凡に「自動ドア」であるため、作品への入り口であるとは気づかず、あとから作品リストとマップを見ながらようやく発見。ちょっとした驚きを体感できるので、見逃し注意!

ウォルフガング・ティルマンスのインスタレーション。東京オペラシティでやっている彼の展覧会を見に行きたいなと思っていたら、ここで出会えた。オペラシティのウェブサイトでオープニング・ムービーになっている作品の写真も展示されている。あー、やっぱり動いてるの、大きい画面でじっくり見たいなあ。

ゲルダ・シュタイナー&ユルグ・レンツリンガーによる「ブレインフォレスト」。かなり大きな白い空間いっぱいに張り巡らされた神経系のようなネットと、そこにくっつけられた様々な物たち。工作品からキャラクターグッズ、ゴミまで、見上げても、見下げても、いろんな物を見つける楽しさがある。お気に入りは突然にょきっと生え出たグリーンアスパラガス、ぶら下がったホタルイカ、あちこちにちょこんととどまるセミの抜け殻、枝の先に芽吹くキューピー人形など。

21h.jpg続いて「モダン・マスターズ&コレクション」ですが、デミアン・ハーストグレイソン・ベリーといった、この夏ロンドンのサーチ・ギャラリーで見たアーティストの作品にまた出会えて、ちょっと嬉しい驚きだった。全70数点、へえー、こんなのもってな感じで見て回る。地下の展示室の最初にあるタグ・エイケンの映像作品「エレクトリック・アース」もかなり面白かった。一人の男の行動をおった映像が、1+3+3+1の8つのスクリーンに連動しながら流れる。全21分強、映像のなかの時の流れ、男の移動とともにこちらも空間を移動して見ていく仕組み。ちょいとばしたので今度はちゃんと全編見届けに行きたい。

その他では、やはりシンボル的空間作品の一つ、タレルの「ブルー・プラネット・スカイ」。四角い部屋の天井には四角く切り取られた空。四角い空のキャンバスを動くのは雲と鳥たち。そろそろ夕方。外気の冷たさを感じながらもそれはとても心地いい眺めで、できればぼーっとしていたい気分だった。

館内は迷路のようで、平面図と作品リストを照らし合わせながら作品を見つけていくような気分もちょっと楽しい。男女のトイレ内に設置された作品もあって、私は男性トイレ内の作品は見なかったし(当然?)、オープンエリアの作品のなかには、リストに<館内のどこかにあります>なんて書かれてるものもあったりする。ちょっとした宝探し気分なのだな。

さて、すごいのは、開館記念展以外はすべて無料!ということ。
円形の美術館の中央部に配置された有料ゾーンと、その周縁の無料ゾーンに分かれていて、無料ゾーンだけでも十分楽しめる。路面階と地下にそれぞれ1室ずつ市民ギャラリーがあり、「モダン・マスターズ&コレクション」展はこのスペースで展示されていた。正直、これだけで東京あたりの美術展1つ分の規模。さらに、円周部分にはいくつものアート作品があり、これが無料だったら私は今まで何にお金を払ってきたわけ!?って感じだった。空間作品、収蔵作品の多くもこの無料ゾーンにあったし。

「まちに開かれた公園のような美術館」とはこういうことかと、訪れてみて、この美術館の設計コンセプトが具現化されていることを実感することができた。休日にちょっと立ち寄って、何か面白いものはないかふらっと歩いてみたり、ギャラリーショップのちょっと変わった文具やアートブックを物色したり(あー、そう。例のカレンダーもあったんだよねー!)、街並みや緑、空を眺めながらぼーっと腰を下ろしてみたり。そんなことをしている自分が自然と想像できた。
円周は壁ぐるりがガラス張りなので、中からは外の景色が楽しめるし、外からは円周部の展示作品を眺めることができる。通りかかったら、なんだろうと見に行きたくなる、そんな吸引効果もありってところだろう。

美術館に入らなくても、お金をはらわなくてもアートにふれられる、というか館まるまる街中アート作品って趣。いわばアート公民館か。私がこう感じるってことは、この美術館のコンセプトがかなりうまく達成されてるってことなんだろうね。

今日は地元の家族連れもかなり多く、年輩の人たちも多かった。「なんじゃろうね、こりゃ」的声多数だったけど、そういう顔は笑ってて、たぶん帰った後、じじ・ばば世代、おじさん・おばさん世代も「今日は変わった物見たね」、なんて言いあったり、それを聞いた子どもが「おもしろかったよ」とか、「かっこよかったじゃん」なんて口を挟んだり、そんな会話が生まれてるのかもしれない。

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Comments

 金沢は古風なイメージがとてもいい街ですよね?行った事はないです。でも昔、車で京都から琵琶湖の脇の161号を北上して行って敦賀の方へは抜けたことがあります。こんな新しい美術館があった、できたなんて初めて知りました。世界中から注目されるコミュニティができるなんて、金沢の町の文化的、教養的レベルは相当高いんですね。21世紀美術と言う事だから、今までにないもの、と言う意味なんでしょうけど。現代アートと言うと、風に揺れているモビールとか、水とその周りに関係する薄く切り貼りした造形物をあたかも水の上で風に当てられ飛び跳ねているかのごとく針金で固定して見せているアートとか、そういう感じ時かなー?自分は古典的な絵画やアートのみなので、立ち入ってみた事がないんですよ。ちょっと気になった所だと、最近だと大阪の新しくなった「国際美術館」でやっているマルセル・デュシャンの「彼女の独身者たちによって・・」っていうモザイクアートの”謎”を解いてやろうと思ったぐらい。でも自分では自分はシュールレアリスト?だと思ってます。
 

Posted by: ハルズ | Dec 06, 2004 at 05:15 AM

どうも。シュールレアリストですか!
なんかただわけわかんないものかっこつけてみせてんじゃないの?みたいな感覚ってありますよね。どっからがどうアートなのみたいな。でも、そういう印象もそれも作品の力の範囲・限界だと思うんですよね。なんでそうなるのかわかんないけどなんか好き、とか、なんか笑顔になった、とか、なんか切なくなった、とか、「今」を切り取るアートは、そういう感覚的なものに近いもんだだと思うので。見る人と作品の相性もありますけどね。金沢21世紀美術館は子どもでも楽しめる系なので、とりあえず行ってみて、はいってみて、さわってみて、あーだこーだ文句もいってみるみたいな楽しみ方でいいんじゃないでしょうか。全然えらそーじゃないですから。
金沢まだだったら冬の食べ物おいしい時期に一度どうぞ(^^) 文化で街づくりしようとしてますから、博物館系は多いですよ。街歩いてるだけでも文化財系なものいっぱいですし。

Posted by: neco | Dec 07, 2004 at 11:40 PM

necoさん、こんばんは。
こちらこそ、早々TBありがとうございます。
とても盛りだくさんのブログですね。
色々旅なれているみたいだし・・・。
また、寄らせていただきます。そのときにゆっくりと拝見します。

Posted by: あさぴー | Mar 09, 2005 at 08:23 PM

あさぴーさんコメントありがとうございます。
是非またおいで下さいませ。金沢ネタもときどーきありますので、つっこんでやって下さい(^_^;)
あさぴーさんのとこにもまた遊びに行きますね。
お店情報のほかにも、お友達リンクもすごく素敵な方たちばっかりのようで、是非いろいろのぞいてみたいなと思ってます。金沢のネットワークがあまりないので~(;_;)

Posted by: neco | Mar 09, 2005 at 10:54 PM

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